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  • 映画『1秒先の彼女』は可愛いファンタジー

    映画『1秒先の彼女』は可愛いファンタジー

    映画『1秒先の彼女』は可愛らしいファンタジー

    (C) MandarinVision Co, Ltd

    映画『Ⅰ秒先の彼女』は、半分ファンタジーの爽やかな恋愛映画である。
    話の前半分はテンポもよく、ウィットにも富んで、楽しい。ドタバタチックな喜劇は、香港映画や韓国映画の脂ぎった匂いがないのが新鮮だ(これは台湾映画)。というか、よくよく練られた展開に、安っぽい日本映画の恋愛ものに比べて、うらやましくなる。
    後半は、「得した1日」での出来事と、そのSFチックな理由が明らかになるが、いまいちすんなり来ない。
    前半で、やもりの面白い話があったので、後半もいっそのこと幻想ということにする手もあったのに、あえて宇宙の謎みたいな屁理屈にしてしまったので、トーンが崩れてしまった可能性がある。
    女主人公を連れまわすシーンは少々説得力が不足していたと思う。
    そのあたりは観客に我慢をしいるわけだが、最後の最後は、主人公たちの出会いですくわれるし、ステキな最後になったと思う。
    主演はリー・ペイユー(パティ・リー)。スラっとした長身。婚期をあせりながら、郵便局の窓口に勤める役を上手に演じている。小さいころから反応がはやくてそそかしい。隣の席のかわいい同僚のデートの話に、かなり下品なツッコミを入れている。そのくせ、恋愛経験にとぼしく、純心で、さわやかで、日々つつましく過ごしている。そうした憎めない日常を演じるのにこれ以上ない適役のように思えた。

    映画『1秒先の彼女』予告編

    © 2021.Hiroshi Sano


  • 映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』は新境地!

    映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』は新境地!


    (C) 2021「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」製作委員会

    映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』

    面白く出来ている、ともろ手をあげて言いたいところだが。
    なぜか、歯切れが悪くなるのは、私の中での消化不良のせいだろう。
    大筋では、毒をもって毒を制す。悪いやつらを倒す話だから、本当はスカッとしていいはずだ。
    アクションシーンも、これでもか、これでもか、と工夫満載で結構楽しめる。(突如、殺し屋が多数登場するので、ここまで出さなくても、とは思ったが、、)

    ところが、子どもを支援する福祉NPOの主催者が売春組織の親玉だったという設定が後味の悪いままになっている。

    場面展開ごとに、笑えるシーンがあるので、全編ブラックユーモアの世界といってもいいくらいだ。
    木村文乃の一貫したツッコミキャラがこの映画の狙いを明かしている。

    佐藤二郎がスベラないギャグをかませていて満点。木村文乃も及第点。主役の岡田准一は、役柄設定自体が、なにも演じる必要がない、という得した役割。
    そんななかで、堤真一はもう一人の主役で、ブラックをよく演じていたが、やや不発だった。
    原因は多分、映画全体で細分したフラッシュバックが多すぎたことではないだろうか。
    悪役堤真一の悪たる所以、少女役の平手友梨奈の家出の話、これらをを細切れにしないで、もう一工夫あった方がよかったのではないか、とも思う。例えば、(まとめて)複線として使っていれば、後方で何かが明かされたときに、カタルシスがうまれて、ひょっとしたら、感動もあったかもしれない。このあたりは見解の相違かもしれない。
    つくる側としては、いろいろな意味で面白さとかを、抜かりなく万全なものにしたかったのかもしれない。
    ちょっと引いた気持ちのゆとりがあったら、ひょっとしたら、名作になったかもしれない。
    平手友梨奈の存在感が抜群だし、工夫がこらされた力作だと思う。

    ブラックユーモアのありかたについては考えさせられた。

    (h.s)

    ©hiroshi sano

    監督 江口カン
    公開 2021年6月

    評価
    4/5

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  • 映画『街の上で』はちょっと注目!

    映画『街の上で』はちょっと注目!

    佐野 ヒロシ

    (C)「街の上で」フィルムパートナーズ

    映画『街の上で』

    この映画の評が何日も言葉にならなかった。それほど印象深く、おもしろさも一筋縄ではない映画だ。映画作りが劇中に行われていて、そんな多重構造からの連想は、ホラーコメディー「カメラを止めるな」につながるが、観る方が受けたインパクトは「カメ止め」をしのぐ大事件だ。

    約5つの恋話が盛り込まれていると思う。前半散りばめられるそれらの恋の伏線が、後半うまく結実して、多少の映画好きなら観て損はない。

    中盤、劇中の映画監督が映画論をちらと語り、場面がかわって、主人公が、ながながしい恋話のやりとりをする場面があるが、それらがワンパッケージだとすると、ここを中心に映画の撮影を進めたのかもしれない、といった、映画を分解する別の楽しみもある。

    なによりスゴイのは、登場するすべての脇役のバランスがよくて、あたりはずれが無いということだ。

    出だしは、暗い気分の表現だから、うっとうしいが、全体を観れば、面白み満載の映画だと思った。

    ただ蛇足ながら、主役の脱力系はこの映画の柱ではあるが、最後まで脱力は、この映画の印象度を時間とともに浸食している気がした。(どこかで、強い見せ場があってもよかったかも)

    (h.s)

    監督 今泉力哉
    公開 2021年4月

     

    評価
    4.3/5

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