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  • 映画『ステージ・マザー』

    映画『ステージ・マザー』

    佐野 ヒロシ

    (C) 2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

    映画『ステージ・マザー』

    母親役のジャッキー・ウィーバーが好演。

    道具立ては、万全。

    ゲイだった息子が急死して、テキサスからサンフランシスコに駆け付ける母親。息子はショーパブを経営をしていて、そこには人生の苦悩を抱えたゲイたちがいた。

    母親は、一計を案じて、ショーパブを立て直す。ゲイたちの相談にも乗ってやり。

    とここまでは、よくありそうなコメディーの筋立て。

    ところが、母親は、テキサスの小さなコミュニティーで教会の聖歌隊の指導者だった、というのが、最後まで効く、バネになっている。

    最後の最後で、母親自身のステージが実現する。これが感動のピークとなっている。

    このわずか数分のために、それまでの、なんだかんだがあったような、そんな稀有な映画。

    (追記) つらつら考えると、出だしの、タイトルバックと、サンフランシスコの紹介が、音楽のリズムにあわせてシャレていて、そこで、すっかり観る側の期待感を掻き立てるのに成功したと、思う。

    その期待度の高さで、中盤の、ゲイたちに地声で歌わせるシークエンスの盛り下がりを乗り切れたのかもしれない。

    盛り下がりのあやうさは、そちこちにあったが、ちいさなエピソードの配置でくい止めている。そして嫌味なく乗り切れているのは、ひとえに、クリッとした瞳の主人公の顔のアップにあったと思う。

    そして、最後の最後のシーンにまで、なんとかもっていくわけだが、そこには、監督と脚本の力技が多分効いていた。

    映画のテーマは、テキサスの小さな町で育ち、幸せな青春をおくった、と思った主人公が、「いつも刺激的」なサンフランシスコで、60代(多分)になって、秘めていたもう一つの青春を爆発させる、ということだったと思う。

    気持ちが揺さぶられるシーンのある映画ではあるが、感動がこころの底から湧き上がることはない。なぜなのか知りたくはあるが、あまりにも多すぎる人生のしがらみや苦悩をつきぬける、力が主人公にも制作がわにも欠けていたのかもしれない。

    (h.s)

    監督 トム・フィッツジェラルド
    公開 2021年2月

     

    評価
    3.8/5

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    WordPress山梨に参加した

    WordPress MeetUp山梨に参加した

    山梨のMeetUpに参加するのは3回目。コロナの影響で、Zoomを使っての集まりだが、それでもありがたい。
    去年はなにかと、山梨には出かけた。主には、山が目当てだが、とくに道の駅白州には毎回よった。
    参加者は当然山梨の人が多いが、白州のある北杜市の人もいて、親しみを勝手に感じた。

    佐野ヒロシ

    もともと映像の仕事。でも、これからはネットでしょう!

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  • WordPress データベース

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    佐野 ヒロシ

    (C) 2021 hiroshi sano

    WordPressデータベースアップデート

    MySQLをバージョンアップするにともなって、WordPressのデータベースが変化(移動?)した。

    サイトにデータベースにアクセス不能と表示された。

    解決法は、wp-config.php上のデータベースの場所を書き換え。

    (h.s)


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  • 映画『羊飼いと風船』

    映画『羊飼いと風船』

    佐野 ヒロシ

    (C)2019 Factory Gate Films.

    映画『羊飼いと風船』

    正直、自分が人に薦めたい映画なのか、迷う。最後のシーンは、赤い風船が空高く飛んでいくシーンだ。それが何かの暗喩なのだろう。例えば、離れていく命、離れていく妻、エトセトラ。

    妻の妹は出家しているが、そのつらい(多分)恋物語も、(わざと)不十分に挿入されている。その妹と偶然出会う元恋人(?)も、どうしようもなく、離れた存在だ。

    この映画は、中国のチベット地区が舞台で,そこでは仏教が深く根付いている。仏教は一度離れた魂も、転生によって現世によみがえる、と教える。

    あまりにも「文芸的」な、肝心な描写をはぶいたこの映画は、実は、はぶくことの効果を、十全にいかすことのできなかった、かもしれない。

    (h.s)

    監督 ペマ・ツェテン
    公開 2021年1月

    評価
    2.5/5

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  • 映画『バチカンで逢いましょう』

    映画『バチカンで逢いましょう』

    佐野 ヒロシ

    (C)2012 SPERL PRODUCTIONS/ARDEN FILM/ERFTTAL FILM. & FERN SEHPRODUKTION/SEVEN PICTURES FILM

    映画『バチカンで逢いましょう』

    コロナ禍で、映画館へも行きづらいなか、出会いました!快作DVD。楽しいし、面白い!

    邦題がとても不適切! どうみても、宗教映画(正しいけど)。原題は、マンマミーアをもじったような、オマンマミーア(OMAMAMIA)。本当は、ローマで逢いましょう。とか、ローマ狂想曲、とか、、、

    いろいろな要素が入ったコメディ。次から次へと、飛んでもない展開が、心地よい。

    しっかりと筋のとおった展開。はちゃめちゃのわりに、きちんとした着地がいくつも用意されている。

    日本人なら、伊丹十三ならこんな映画が作れたかも。

    主人公のおばあちゃん、オーマは、ローマへ行かなければならない理由がある。主人公たちはドイツ人で敬虔なカトリック。イタリアの狂騒と出会って、ドラマが展開、とここまではありがち。ところが、このおばあちゃん、とんでもないクワセモノだったとしたら!

    映画の展開が、本当にうまい。テーマも、とても今日的。

    (h.s)

    監督 トミー・ヴィガント
    公開 2012年

    評価
    4.5/5

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    © 2019.Hiroshi Sano

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  • 映画『 おらおらでひとりいぐも』

    映画『 おらおらでひとりいぐも』

    佐野 ヒロシ

    (C) 2020 「おらおらでひとりいぐも」製作委員会

    映画『おらおらでひとりいぐも』

    高齢者が自立(?)して生きる、のがテーマの映画のようだから、魅力に感じて、観に行った。

    主人公(田中裕子)と、その周りにときどき出現する、ボケの暗喩、あるいはボケの化身、といった異世界の道化たちとで、物語は進んでいく。

    せっかくの面白い設定だったが、田中裕子のまったりとした演技が、十分に老人を感じさせないので、面白いことが何も起きそうもない、と期待感は、反転してしまった。

    主人公の若いころを蒼井優が演じていたが、無理そうに見えて、大丈夫なところに、わずかな希望を感じた。

    (h.s)

    監督 沖田修一
    公開 2020年11月

    評価
    2.3/5

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  • 映画『82年生まれ、キム・ジヨン』

    映画『82年生まれ、キム・ジヨン』

    佐野 ヒロシ

    (C) 2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

    映画『82年生まれ、キム・ジヨン』

    原作は、韓国でベストセラーになった小説。

    幸せそうな結婚生活のなかで、主人公が精神的に追い詰められていく。その遠因である、彼女の育って来た過程が描かれている。そだった家族は、たぶん標準からかけ離れているわけではなさそう。ただ、男尊女卑や、嫁姑問題など、今に尾を引く、さまざまな問題が色濃く残っていた時代に、育ってきた、というのがテーマのようだ。

    ちょうど日本なら昭和なので、さしずめ「昭和うまれのキム・ジョン」というのが、受け入れやすいとっかかりかもしれない。

    残念ながら、全体で印象のうすい映画になっている。

    (h.s)

    監督 キム・ドヨン
    公開 2020年10月

    評価
    2.4/5

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    © 2019.Hiroshi Sano

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  • 映画『ジョジョ・ラビット』

    映画『ジョジョ・ラビット』

    佐野 ヒロシ

    映画『ジョジョ・ラビット』

    コメディなのだと思う。しかし、シリアスで深いテーマをなげかけてくる、素晴らしい映画だ。

    俳優たちがそれぞれの持ち味を100パーセント活かして、人間味あふれる演技をしいてるのも、観ていて楽しい。

    中心にいるのは、ヒトラーに取りつかれた軍国少年、とヒトラーの幻影だ。少年の配置が、というか設定がすばらしい。ヒトラー役は、この映画の監督でもある、コメディアンのワティティ。

    少年のお母さん役の、スカーレット・ヨハンソンがなんとも言えない、味わい深い演技をしている。さらに、大尉役のサム・ロックウェルが多少ずれた、いい役を演じている。

    そして、展開がすばらしい。かなしくて、希望に満ちている。

    すばらしい、としか言えなくて、おかげで、しばらくの間、映画について、語れなくなってしまった。

    (h.s)

    監督 タイカ・ワティティ
    公開 2020年1月

    評価
    4.8/5

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  • 映画『記憶にございません!』

    映画『記憶にございません!』

    佐野 ヒロシ

    映画『記憶にございません!』

    バランス抜群の小気味よい喜劇!
    多くの人がすでに観たと思うので、いまさら批評めいたことを書く必要もないが、それでも一言いいたいのは、ヤフーの評価点数が、やや低いと感じたからだ。
    そして、そこにこそ、この映画の屈折した面白みがある。
    脇道にそれるが、俳優は、木村佳乃のアメリカ大統領と通訳(宮崎エマ)が出色。このあり得ない超リアリティーに、ハラハラして笑う初めての体験をした!(最新ゴジラで、石原さとみの同じ役柄は酷かった!)
    本題にもどると、控えめなカメラワークと、使いまわしのようなセット、そのすべてが語るのが、(たぶん)三谷幸喜のアンチ映画手法だ。かいつまんで言えば、映画であって映画でない、この面白さ。たぶん、「映画」を観に行った人たちは、違和感を感じて、低めに点をつけたように思える。 (hs)

    監督 三谷幸喜
    公開 2019年8月

    評価
    4.4/5

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