佐野 ヒロシ
映画『マーウェル』
注目度、ベスト5にいれたい!
が、ちょっとクセのあるテーマなので、一般向けではないかも。
物語は、パンプス(ハイヒール)が好きな(あるいはこだわる)男が、そのおかげで(変態だということで)、記憶をなくすほどの暴行に会うが、町の人の温かさに支えられて、最後にはパンプスを履いて(偏見をもろともせずに)歩きまわれるほどに回復する、という展開である。
だから、テーマは、一見、少数性癖者に対する偏見を正すことにあるように見えるが、この映画の存在価値はそこにはない。
主人公はフィギャー(人形)をあつめて、写真を撮っている。そのフィギャーは、自分の分身や、自分が出会った女性たちに似ている。彼らは、チームとなって、ナチと戦っている。
映画の内容は、それが、総てだ。
で、なにがすごいのかというと、主人公はフィギャーをポーズさせて、スチル写真しか撮れない。
ところが、ゼメキス監督は、主人公の写真の前後のシーケンスを、つまり、主人公の妄想の部分を素敵なモーションピクチャーにして、映画を仕上げたことだ。
その妄想の映像化がじつに素敵。
(私が感銘する)映画の本質を具現化しているので、とても気に入ってしまった。
これ以上、言うと、フェリーニのアマルコルドとかを論じたくなるので、今のところはここでやめておく。(hs)
監督 ゼメキス
公開 2019年
評価
4/5
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