佐野 ヒロシ
映画『鑑定士と顔のない依頼人』
これを書いている時点(2019年)からするとかなり前の映画になってしまった。私の中では色あせないし、ドキドキする展開もいまだに新鮮だ。はじめから「ダマし」がテーマだ。それだけでも、私にとって合格だが、映画の中の「映画のダマし」が幾重にもコーティングされて、監督の術中の深みがいかにすごいかを堪能させられる。主人公は偽物を見破る名人であって、どんな風に騙されてしまうのかを、こちらは目撃するが、観る側がすでに映画に入り込んで、主人公と一緒に壁のすき間を覗き込む、という仕掛けがまたすごい。本当に騙されたのだろうか、という余韻もリアルで、哀れみと共感が観る人の人生観に突き刺さるのも、この映画の楽しみだ。(hs)
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ公開 2013年12月
評価
4.6/5
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