佐野 ヒロシ
(C) 2021「騙し絵の牙」製作委員会
映画『騙し絵の牙』
最後まで飽きさせないで見せた。主要な登人物のそれぞれが、きっちりと役柄を演じていた。
映画として違和感なく、展開もテンポよく心地よい。カメラもセットもすんなり納得できた。ドンデン返しもあり、面白かった、という印象でスクリーンを後に出来た。
だが、残念ながら、感動がない。筋書きから、言えば、最後の最後に、「騙されつづけてきた」(と自分で思っている)松岡茉優が一矢報いるシーンがそれにあたるが、かなり弱い。
この映画では、大泉洋が「みかけよりは、ビッグな人物」(と私は勝手に規定するが)を演じているが、本当はそこのところが、演じきれていなかったのかもしれない。と、いうか、大泉の持ち味は、そんなところにないし、なくてもよい、というのが、彼の作品を好む観客の心情ではないだろうか。
というようなわけで、彼が、ビッグを演じ切れていなかったせいで、せっかくの感動シーンがまったく作用しなかった。
原作もよかったのかもしれないが、監督の綿密な技がある作品だと感じられた。
(h.s)
監督 吉田大八
公開 2021年3月
評価
4/5
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