映画「エイリアン ロムルス」
映画「エイリアン」のシリーズを観た人には、エイリアンの形状、生態、怖さなどは周知のはずなので、この映画でどのように既視感を超えるのかが課題だが、みごとに楽しめるエンタテインメントだった。
もちろん、ホラーなので、怖い!ただ、マイルドな怖さ、というか、唐辛子にたとえれば、上品な辛さ、とでも言いたいタッチ。
女性から見るとたぶんエグイ部分もあるので(どうもエイリアンは人間の女性がすきらしい!?)、どのひとにもおススメといかわけにはいかないかもしれないが、それでも楽しいのでお勧めの映画だ。
今回なにが新しいか、というと、主人公の少女の弟役の設定が面白くて、秀逸で、最後まで、このキャラクターが重要な役割を果たすのがスゴイ(発想)。
主人公たち同年代の5人が、放置された宇宙船に乗り込んで移住を図るという設定だが、そこにいたる未来世界が手際よく興味深く描かれているので、エイリアンに遭遇するまでのややながい展開は、飽きずに見ていられる。もちろんエイリアンが出てきたら、そこで起こることは、もう決まったようなものだから、作り手として、このあたりで時間かせぎもしたいところだ。
で、じっさいにエイリアンが出てきてからの恐怖と格闘のシーンだが、ここでも新機軸があるので、お楽しみ。最後で、エイリアンの新形態まで登場するので、もはやサービスのてんこ盛り!
恐怖についていうと、初回のシガニー・ウィーバーの時は怖かった、と思う。成熟した女性の、しかも名優の演技力が映画の力を強めていたのは、再確認した。
でも、今回の主人公の少女役(ケイニー・スピーニー)もすばらしい。恐怖を演じる役どころではなくて、恐怖を打ち勝っていく役どころで、さらに人間味も感じさせて、最近はこうした女性の役どころがとても好感がもてる。