佐野 ヒロシ
映画『君は月夜に光り輝く』
不治の病におかされた少女が、クラスメートの男子の献身で、充実した最後の日々をおくる。2年前に公開された映画『君の膵臓をたべたい』と似た設定。しかも、なんと同じ監督だった。
そのことで、作品自体よりもなぜ二つが作られたのかの方に興味が行ってしまう。『君の膵臓をたべたい』は感動もあるヒット作だが、不自然な、というか、観る側が居心地がわるいシーンがいくつかあった。主人公の友人の成長した姿が北川景子、というのも不自然だった。小栗旬も説得力が薄かった。若い主人公どうしの高校生らしいちょっと危ない冒険での生のやりとりが映画の魅力になっていた。主人公を演じた浜辺美波が最後まで可愛い印象を残した。
さてこの『君は月夜に光り輝く』は、そうした枝葉を切り落として、スッキリした印象になっている。カメラや照明、美術もレベルがそろっている。ストーリーの流れも、単純だ。端正なクラシカルな面持ちをまとうまでになっている。ところが、感動がなぜか薄くなってしまっているのも不思議だ。(hs)
監督 月川翔
公開 2019年4月
評価
4/5
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