カテゴリー: 映画

  • 映画『アリー/スター誕生』

    映画『アリー/スター誕生』

    佐野 ヒロシ

    映画『アリー/スター誕生』

    レディー・ガガの顔が忘れられなくなる映画。前向きに生きるというレディー・ガガのコンセプトが最後まで貫かれている。それが魅力である反面、その分後半の構成に感動がとぼしくなった。

    ただ、見どころはたくさんあって、レディー・ガガのみならずブラッドリー・クーパーのパフォーマンスは秀逸だ。展開の都合で、曲が途切れたりするが、もっと聴いていたい気がする。上の写真のレディー・ガガは、ブラッドリーの公演に呼ばれて、むりやり引き出されて初めて大舞台で歌うシーンだと思うが、そのレディー・ガガが感動的で、映画の頂点がすでにここに来ていた。

    本当ならばここで終われば、映画の題名通りに『スター誕生』だったのだろうが、「アリー」と題名にいれたことで、さらに映画の展開がつづいた、といった印象になった。アリー(たぶんレディー・ガガ)どのような姿勢で歌手として成長していくのか、が描かれた。

    映画が公開になる前からパブリシティーが豊富で、レディ・ガガか、ブラッドリー・クーパかどちらか(あるいは二人が)、お互いの「ケミストリー」がうまくいった、とコメントを発していた。すでに十分に大人の二人が、いったいどのような「化学反応を起こした」のか。私生活にもその影響もあったのか、も含めて、この映画を観に行く大きな要因になっていた。(hs)

    (後日談)これを書いて、約六か月後、ブラッドリー・クーパーが連れ添ってきたモデルと破局した、という記事がでた。この映画に入れ込んだのが、原因だという。

    監督 ブラッドリー・クーパー
    公開 2018年12月
    評価
    3.5/5

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  • 映画『ボヘミアン・ラプソディー』

    映画『ボヘミアン・ラプソディー』

    佐野 ヒロシ

    映画『ボヘミアン・ラプソディー』

    「クィーン」のコンサートの序盤から始まって、成り立ちのエピソードを挟み、コンサートの盛り上がりで終わる、という構成になっている。この映画の力は、構成のよさに尽きる。

    で、内容はどうか、と言えば、この映画のおかげで「クィーン」のことを少しは知れた。フレディの死因も分かったし、アイデアが豊富(というか思い付きだのみ)なバンドだったことも分かった。ビートルズに比べると、尻切れトンボの曲が多いような気がしていた。

    最後まであきさせないし、中間で出てくる「オペラ」風楽曲に取り掛かるシーンのくだりはひきつけられた。

    どうしても『アリー』と比べられるが、作品のまとまりはこちらの方がよいので、観終わったあとの席の立ち具合も、あとくされがないのだと思う。仮に感動メーターがあったとしたら、『アリー』の方がハイスコアを記録した瞬間があったのではないかと思う。なにしろ『アリー』は本物(レディー・ガガ)が歌ったので、その分だけ、この映画の分が悪かった。(hs)

    監督 プライアン・シンガー
    公開 2018年11月
    評価
    4/5

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  • 映画『恋は雨上がりのように』

    映画『恋は雨上がりのように』

    佐野 ヒロシ

    映画『恋は雨上がりのように』

    出演の小松奈菜がいいし、大泉洋がさらによい。上の写真は、中年の店長(大泉)にアルバイトの高校生(小松)が好意をもって迫る場面だが、そのときの大泉のセリフが「目が怖いよ」(多分)である。つぎのカットが小松奈菜の顔のアップで、本当に怖い目つきだった。

    このはらはらする場面での二人の演技が秀逸で、これだけでもこの映画の見ごたえを堪能するが、このぞっとする設定の映画を、さわやかな後味にもっていくことができたのは、大泉洋が必要だったろうし、さらに小松奈菜のおかげで確固になった。

    大泉洋の主演作に『探偵はバーにいる』があって、題名のカッコよさと大泉がそぐわない気がしつつ観たが、面白く観たのも、アンチヒーローであってもヒロイズムを宿している人物の幅みたいのを体現しているからだろう。どの出演作もそうというわけにはいかないが、監督や原作によって大泉ならではの役どころがめぐってくる。じつはこの映画はちょっと不器用なデコボコ感がある。大泉洋と小松奈菜はそんなでこぼこ道をまっすぐに疾走していった。(hs)

    監督 永井聡
    公開 2018年5月
    評価
    4/5

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  • 映画『鑑定士と顔のない依頼人』

    映画『鑑定士と顔のない依頼人』

    佐野 ヒロシ

    映画『鑑定士と顔のない依頼人』

    これを書いている時点(2019年)からするとかなり前の映画になってしまった。私の中では色あせないし、ドキドキする展開もいまだに新鮮だ。はじめから「ダマし」がテーマだ。それだけでも、私にとって合格だが、映画の中の「映画のダマし」が幾重にもコーティングされて、監督の術中の深みがいかにすごいかを堪能させられる。主人公は偽物を見破る名人であって、どんな風に騙されてしまうのかを、こちらは目撃するが、観る側がすでに映画に入り込んで、主人公と一緒に壁のすき間を覗き込む、という仕掛けがまたすごい。本当に騙されたのだろうか、という余韻もリアルで、哀れみと共感が観る人の人生観に突き刺さるのも、この映画の楽しみだ。(hs)

    監督 ジュゼッペ・トルナトーレ公開 2013年12月
    評価
    4.6/5

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  • 『十二人の死にたい子どもたち』

    『十二人の死にたい子どもたち』

    佐野 ヒロシ

    映画『十二人の死にたい子どもたち』

    いろいろな要素が組み合わされて到達した幸福な映画だ。
    題名や予告編を見てミステリーやサスペンスを予想するとすこし裏切られる。映画『トリック』の監督(私は好きでよく観た。最近ネタ切れかと思っていたら、こんなすごい映画を作っていた)が、この映画も最後まで楽しませようとして、成功している。そしてなにより魅力的にしているのは「死」という重いテーマと、もうひとつ子どもたちの孤独をときほぐす「疎通」という隠れたテーマがあったことだ。
    この映画には杉咲花、北村匠海をはじめとして、力ある若手が集っていてその後の彼らの活躍を見ると、あらためて価値が分かる。

    (hs)

    監督 堤幸彦
    公開 2019年1月
    評価
    4/5

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