映画『カオス・ウォーキング』
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出だしは、自然ゆたかなアメリカのどこかを思わせる風景のなかで、やや風変りな男だけの集団の村がある。と、ここまでで、M.ナイト・シャマラン監督の「ヴィレッジ」を思わせる。集団にただよう閉塞感は同じだ。ただし、この映画の展開の中には、シャマラン映画についてまわる「寸詰まり」感がない、のが最終的に分かって高得点をあげたいと思う。
この集団の男たちは、考えていることが他者に分かってしまう。それはそれで何かの暗喩らしい、と思う。実は、彼らは地球からの移住者たちで、この惑星の力で、考えがそとに漏れ出てしまう、ということになってしまったらしい。
そこに、地球から後続の移住集団が近づいてくる。そして先遣隊の少女が偶然村にたどりついてしまう。
だんだん、いくつかのことが分かってくる。たとえば、他にも集落があること。男は、他者に考えを読まれてしまう、という風に変異してしまうが、女にはそういう変異が起きていないので、女は考えを他者によまれてしまうことはない。
男と女の違いを、こんな風に際立たせて話を進めていくこと自体、カリカチュアで、本来なら物議をかもしそうだ、と私は心配するが、ところがこの映画はSFで、ここは地球ではない、ということで、話はなめらかに進んでいく。
いずれにせよ、このカリカチュアは成功したと思う。し、SFとしての最低限の満足もあった。
©hiroshi sano
監督 サム・クァー
公開 2021年7月
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