映画「夏目アラタの結婚」
主演の設楽裕也と黒島結菜の組み合わせが素晴らしい。なんといっても、出だしから、主人公が死刑囚に「結婚」を申し込むまでのテンポの良さが際立っていて、そのあとの展開を自然にみせることに成功した。まずは、堤幸彦監督の力量によるものだろう。とても現実的には思えないストーリーを、あちこちに主人公たちの過去を散りばめながら、展開して、ときおり出てくる、佐藤二郎の死刑囚オタク役やかなり効いている。
設楽はほとんどピッタリの役柄だったし、黒島は、とても無理そうな役柄を我慢して演じて、後半自然な姿に移行するまでつなげていて、スリリングな破綻のない物語をかたるのに成功している。
原作があるとはいえ、あらかじめ読んでいる人が多いとも思えないので、一見とっつきにくいテーマを薄味にならずに濃く、醍醐味も感じさせて最後まで見せた。