佐野 ヒロシ

(C)2019 Factory Gate Films.

映画『羊飼いと風船』

正直、自分が人に薦めたい映画なのか、迷う。最後のシーンは、赤い風船が空高く飛んでいくシーンだ。それが何かの暗喩なのだろう。例えば、離れていく命、離れていく妻、エトセトラ。

妻の妹は出家しているが、そのつらい(多分)恋物語も、(わざと)不十分に挿入されている。その妹と偶然出会う元恋人(?)も、どうしようもなく、離れた存在だ。

この映画は、中国のチベット地区が舞台で,そこでは仏教が深く根付いている。仏教は一度離れた魂も、転生によって現世によみがえる、と教える。

あまりにも「文芸的」な、肝心な描写をはぶいたこの映画は、実は、はぶくことの効果を、十全にいかすことのできなかった、かもしれない。

(h.s)

監督 ペマ・ツェテン
公開 2021年1月

評価
2.5/5

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